そば屋は日本各地に存在しますが、なぜか店名に「庵」がついているそば屋も多くあります。そもそも、庵とは草でつくった粗末な小屋、もしくは寺内にある小さな建物を指しており、そば屋とはほとんど関係ありません。

では、なぜそば屋の屋号に「庵」がつくのか…その理由は江戸時代まで遡ります。当時浅草にあったお寺・称往院には「道光庵」という庵があり、そこには信州出身の僧が住んでいました。そば打ちが得意だったことも関係して、檀家の人達をもてなす目的でそばを提供したところ大評判になり、そばを目当てに訪れる人が増えました。

称往院の近隣にあるそば屋は、この評判にあやかりたいと考えて、店名に「庵」の文字を入れるようになったのです。このような経緯で、現代の多くのそば屋に「○○庵」という名がついているのです。